びっくり!どっきり!大スケールで海を感じて楽しもう!
環境水族館とはなんぞ?
「アクアマリンふくしまは」小名浜港の第二埠頭に建てられた水族館。アクアマリンという宝石の名を持つだけあって、まるで海に浮かんでいるかのような、大きなガラス張りのドームが印象的です。なにはともあれとにかく広い!敷地面積も展示規模も東北最大級のスケールとか。
ところで気になるのが、コンセプトに謳われている「環境水族館」のフレーズです。ざっくりいうと「海をはじめ、里地や里山などの身近な自然環境にもっと興味をもってもらい、未来のために自然を大切にする心を育む」ための展示や企画をしている、ってことみたいです。(合ってるかな?)
左/アクアマリン本館入口 中/潮目の大水槽 右/3階通路の展望スポット
また、福島県沖は寒流の親潮と暖流の黒潮がぶつかる「潮目の梅」として、豊かな漁場であることが知られています。そんなことから「寒流」「暖流」「潮目の梅」も展示の大きなテーマになっています。
縄文時代の景色を横目に小動物たちを愛でる。
メインゲートをくぐっての、最初の展示は「わくわく里山・縄文の里」エリアです。本館の手前の敷地に縄文時代の湿地や渓流の自然が再現され、その外周にトンネル状の通路があります。
縄文時代からあった日本在来の植物が植えられ、通路から覗く形で当時の人が見ていたであろう景観を見られます。この渓流に注ぐ滝は、その裏側を通路側から体感するという仕掛けにもなっています。
左・中/「わくわく里山・縄文の里エリア」に再現された縄文時代の風景 右/滝の裏側
同時にこの通路内に展示されているのが、古くから日本の野山に生息している生き物たち。ハタネズミ、カヤネズミ、アカネズミといった、小さな可愛らしい野ネズミたちとか、モグラやカエルやヘビ、クワガタやコノハズクなどの身近な小動物や虫や鳥も。
そしてこのエリアの最後にあるのが、野生のカワウソの生息環境を再現した「カワウソのふち」という水槽。ここではニホンカワウソの近隣種であるユーラシアカワウソが飼育されています。この時間カワウソさんたちはちょうどお昼寝中で、動く姿を見られなかったのはちょっと残念。
左/日本固有種アカネズミ 中/ノコギリクワガタ 右/お昼寝中のユーラシアカワウソ
本来であれば、ここで展示されるべきなのは、日本在来種であるニホンカワウソのはずですが、2012年8月、ニホンカワウソはついに環境省の絶滅種に指定されてしまいました。絶滅宣言後にも複数の目撃情報はあるものの、生息確認までには至らず、現在のところ公認でのニホンカワウソの最終目撃は1979年とされています。
その貴重な最後の姿を納めた写真のパネルが「カワウソのふち」の横の壁に展示されていました。かつては日本のあちこちで生息していたのに、今では写真でしかニホンカワウソに会えないなんて悲しいかぎりです。ユーラシアカワウソが一番近い種と言われていますが、こちらも準絶滅危惧種になっています。


左/「カワウソのふち」の水槽の中 右/パネル展示より「ニホンカワウソ」
ユーラシアカワウソの飼育をアクアマリンふくしまが始めてから今年で10年になるのこと。これまでに国内最多となる8回の繁殖に成功し、26頭もの赤ちゃんが生まれているのだとか。その子たちの多くが国内外の動物園や水族館に旅立っているそうですが、そこでまた多くの子孫たちが増えてくれるといいですね。
ガラスドームの本館へ。古代から今へつながる海と命の営み。
そしていよいよ本館に。ガラスドームの内側はこんなふうになっているのね、と思いながら受付に券えを提示して、ついでに「ロゲットカード」をゲット。いまだに続くコロナの影響で、現在中止になっている展示や体験コーナーもあるけれど、まずは1階の「海・生命の進化」エリアへ。


左/本館エントランスホール 右/1F「海・生命の進化」エリア
ここではシーラカンスをはじめとした、古代からほとんど姿を変えてない海棲生物、いわゆる「生きた化石」たちが展示されています。実はアクアマリンふくしまではシーラカンスの研究に力を入れており、開館当初からその生態解明に取り組んでいるのだとか。実際に、海中で活動している生きたシーラカンスの撮影にも成功しています。
このエリアの目玉とも言えるのが、2体のシーラカンスの標本です。現在生息が確認されているシーラカンスは、「アフリカ・シーラカンス」と「インドネシア・シーラカンス」の2種ですが、この2種の標本が同時に見られるのは、世界の中でもなんとアクアマリンふくしまだけだとか!これはスゴイと、相方のガーさんも興奮気味。



左/シーラカンス標本 中/インドネシアシーラカンスアップ 右/4F「ふくりまの川と海岸」エリア
ここから次の展示場へは、エスカレーターで一気にガラスドーム最上階の4階へ。天井を覆うガラス越しに自然光が降り注ぎ、緑あふれる爽やかな空間へと雰囲気が一変します。ここで最初に出会うのは「ふくしまの川と沿岸」エリア。
魚だけでなく水辺の両生類や虫たちなど、福島に生息する水棲生物を展示。福島県内の川の上流域から海岸までの生息環境を、植物とともに丸ごと再現しています。


左/「潮目の大水槽」のいわしの大群 右/「ふくりまの川と海岸」エリアと「潮目の大水槽」
路順を進むと、目の前に大きな水槽が出現。これは本館メインの展示水槽「潮目の大水槽」の上部。グルグルと回遊する無数のイワシの群れが途切れることなく通り過ぎます。イワシが泳ぐ姿を本当に目の前で見られて、なかなかの壮観。よおく見ると、みんなが一定方向に泳ぐ中、たまに一匹だけ逆方向に泳ごうとするコがいたりして面白い。
親潮と黒潮の源を知り、海と日本人とのかかわりを識る。
さらに路順を進んで、3階の「北の海の海獣・海鳥」エリアへ。ここでは親潮の源であるベーリング海やオホーツク海に棲むアザラシやトドといった海獣や鳥類が展示されています。水槽の中を縦横に泳ぎながら間近に迫ってくるトドの迫力にはびっくり!
左/3F「北の海の海獣・鳥獣」のトド 中/3F北テラスの盆栽 左/3F南テラス・盆栽ごしの小名浜マリンブリッジ
次のエリアに向かう途中で目に止まったのが、テラスでの盆栽の展示。「ん?水族館で盆栽!?」と不思議に思ったのだけれど、理想の自然を目指す盆栽の世界観が、アクアマリンふくしまの「動物も植物も共存する水際の生態系の展示」という考え方と共通するという解説を見で、なんとなく納得。
余談ですが、小名浜盆栽研究所の協力を得て盆栽の常設展示をはじめたのは、311の震災からの再オープンの時からだそう。それまで南北のテラスに設置してあった自動販売機を撤去して、そこに展示スペースを設けたのだとか。
北テラスの先にあるのは「オセアニック・ガレリア」。直訳すると大洋回廊(画廊)とかいった意味になるのでしょうか?海と人とのかかわりの歴史などが、いくつかのブースごとにテーマを設けて紹介されています。捕鯨文化を紹介するコーナーではクジラの骨格標本などのほか、江戸時代の捕鯨を描いた浮世絵も。なんとあの国芳が描いたクジラも!
漁業と食卓の関わりを紹介するコーナーでは、ノスタルジックな雰囲気満載の昭和40年代頃の食卓を再現したミニチュアが。ちゃぶ台の上には、こんがりと美味しそうに焼かれたお魚の干物がのっていました。


中/3F「熱帯アジアの水辺」エリア 右/アジアアロワナ
「オセアニック・ガレリア」を抜けて、盆栽がある南テラスを過ぎると「熱帯アジアの水辺」エリア。今度は黒潮の源流にまつわる展示です。熱帯アジアの川から海へと続くマングローブの森と水辺の自然が再現されています。真っ赤なアジアアロワナ発見。このコも「生きた化石」と言われるお魚ですね。
潮目の大水槽と海の宝石たち。
次のエリアは2階の「サンゴ礁の海」。いかにも南の海らしい色とりどりのサンゴや綺麗なお魚たち。まさに絵を描いたような幻想的な光景にうっとり。海底の白い砂からはチンアナゴたちが顔を出しています。かわいい。



左・中/「サンゴ礁の海」 右/「潮目の海」黒潮水槽&親潮水槽・天井を泳ぐカラスエイ
路順の先に見えてくるのが「潮目の大水槽」。親潮水槽と黒潮水槽の両方をくぐるのが三角形の「潮目のトンネル」です。親潮水槽はプランクトンたっぷりの親潮の環境を再現しており、たわわに吊るされたぷりぷりのホヤが!
黒潮水槽では、福島県沖の海で見られる回遊魚たちを見ることができます。先ほど見たイワシの大群や、マグロやカツオたちが元気に泳いでいます。中でも一匹、丸々としたカツオがやたらに目立っていて、ついつい「美味しそう!」と思ってしまいました。


左/黒潮水槽 右/「潮目のトンネル』
ちなみに、潮目のトンネルは格好の撮影スポットにもなっています。黒潮水槽でゆうゆうと泳ぐカラスエイが現れた時がシャッターチャンス。



左/チンアナゴ 中/ナメダンゴ 右/イバラモエビ
超キュートなナメダンゴや、とりどりのエビやカニたちなどレア種揃いで、ひとつひとつ覗くのも楽しく、それぞれのレア度も確認できます。アクアマリンふくしまのスタッフが発見した新種や、世界初展示の生物も!
潮目のトンネルの先にあるのは「ふくしまの海~大陸棚への道~」のコーナー。福島県沖の大陸棚と深海にすむ生き物たちの展示です。サンマやタカアシガニなど食卓でもおなじみのお魚もこうして見ると新鮮です。そしてやっぱり美味しそう。中には「キモかわいい」と人気のオオグソクムシの姿も。



左/オオグソクムシ 中/タツノオトシゴ 右/メキシコサラマンダー(ウーパールーパー)
次に向かった「アクアマリンえっぐ」は子ども向けの体験型施設。楽しみながら自然の大切さや生物の多様性を学ぶことができます。展示されている生き物たちも、お魚から両生類、鳥類、哺乳類など様々!
海藻につかまってゆらゆらしているタツノオトシゴの不思議な姿は、全然お魚っぽくなくて面白い。ガーさんはメキシコサラマンダーを発見して「ウーパールーパーだ!」と喜んでました。フェネックは小屋の中でお昼寝中で、カメラごしに寝姿を拝見…。
小名浜港を一望。海に遊んで海を学ぶ。
本館とアクアマリンえっぐの間には全面ガラス張りの展望棟があります。ここの最上階からの眺めはもう最高!小名浜港や街並みを360度見渡すことができます。眼下の蛇の目ビーチと遠くの小名浜マシンブリッジが一体となる景気もいい感じ。



左/展望棟最上階 中/展望台から蛇の目ビーと小名浜マリンブリッジを望む 右/福島海上保安部巡視船「あぶくま」
かっこいい船が港の近くを航行していました。がーさん曰く「あれは『巡視船あぶくま』だ。」そうです。小名浜には福島海上保安部がおかれているので、ここに所属する巡視船艇を見ることもできるのです。海の見守りありがとうございます!
展望台から見えた「蛇の目ビーチ」も、アクアアリンふくしまの施設の一部。磯、干潟、浜という海辺の自然を再現しており、裸足になって遊ぶこともできるんだそうな。まさに体験型施設ですね。



左・中/蛇の目ビーチ 右/小学校の校外学習の様子
この日はどこかの小学校の校外学習があったらしく、資料と筆記用具を携えて館内を見学する子供たちがたくさんいました。やんちゃな男子をしっかりものの女子がたしなめる様子なども見ていて微笑ましかったです。
とても駆け足の観覧でしたが「楽しい!」の一言。しかしまぁ、とにかく広くて大きいので心した方がいいかも。敷地内にはいろんな金魚が見られる「金魚館」もあったみたいですが、今回は見逃してしまいました。リベンジをかねてぜひまたじっくり訪れたいです。
●所在地/〒971-8101 福島県いわき市小名浜字辰巳町50
●連絡先/TEL.0246-73-2525 FAX.0246-73-2526
●URL/https://www.aquamarine.or.jp
●営業時間/通常期(3/21~11/30)9:00~17:30(入館締切16:30)
冬季(12/1~3/20)9:00~17:00(入館締切16:00)
●入館料/大人1,850円 小〜高校生900円 未就学児無料
●休館日/年中無休
●駐車場/無料・1,500台
●浜とくから車で約30分
●連絡先/TEL.0246-73-2525 FAX.0246-73-2526
●URL/https://www.aquamarine.or.jp
●営業時間/通常期(3/21~11/30)9:00~17:30(入館締切16:30)
冬季(12/1~3/20)9:00~17:00(入館締切16:00)
●入館料/大人1,850円 小〜高校生900円 未就学児無料
●休館日/年中無休
●駐車場/無料・1,500台
●浜とくから車で約30分